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だけど、ある人が教えてくれた「未来を知るには過去がなくてはならない。人類が培ってきた歴史は約2000年。一人の寿命を50年とすればたった40人分だ。しかし、世界は一人の縦の繋がりからなるわけではない。何臆にものぼる人が同じ時間帯を過ごしている。仮に、人類の始まりから今まで30臆の人が同時に生き続いたとする。40×30臆=1200臆人。その中で君が認識している人の軌跡は、はたして?」
結論から言えば、俺は未来を知っているフリをしていただけだった。完璧な未来予知なんて不可能なのだ。勉強ができて、人より少し物事を考えることが上手くても、人生にはまだまだ解らないことはたくさんある。そう気付けたから今ここに俺はいる。
俺は神社の境内に入り奥へと進んだ。そして二十段ほど石段に足を掛ける。参拝する社はこの上の敷地に建っているのだ。上って行く途中、鐘のなる音が聞こえた。どうやら俺意外に参拝者が来ているようだ。
石段を上り終え、神社を見上げる。長い歴史を物語る大木に囲まれた殿社。そこへと続く細長い石畳の道。その途中の右縁に向かい側の片割れを失った狐の石像が鎮座していた。雑草は少なくきちんと手入れされていることがわかる。
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