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どん底に突き落とされた気分だった。
身体中の力が抜け、椅子から崩れ落ちる。
そして床を拳で何度も叩いた。
あの宗教をとことん憎んだ。
あたしの大切な友達を危ない目に合わせるなんて、
大切な場所を支配していたなんて、
仲間を脅すなんて、
好きな人を脅すなんて……。
脅すならあたしだけにしてよ……。
もう、もうあたしだけが壊れればいいじゃないの!
ただのロボットなんだから。
床から立ち上がり、携帯を手に取って急いで美雪に電話をかける。
美雪ならきっとわかってくれる。もうあんたにしか頼れない。
怒りで手が震えていた。ボタンを押し間違えては正しい番号にかけ直した。
一向に電話には出てくれない。
『オカケニナッタデンワバンゴウハ、ゲンザイツカワレテイマセン』
何十回かけても同じことを繰り返し言われた。
じれったくて、焦って、苛々して地団太を踏む。
「美雪……! なんで出てくれないの!」
ここ数日美雪を避けてた。ちょっと距離を置いていたかった。夏休みに入ってからは連絡をとっていない。
漠然とした不安があたしを襲う。
もしかしたら何かあったのではないのか、怪我をして動けないのではないか、
もしかしたら、もしかしたら……。
死。
あたしは腰が抜け、ぺたんとその場に座る。
これまで口にしたことのない言葉を独り、呪文のように呟いた。
「誰か、……助けてください」
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