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七月二十七日
恐らく僕が仲間の中で最年長だろうな。
会った時におっさん扱いされなければいいが……いや、彼らはそんなこと絶対しないだろう。
気を引き締めて集合場所に行こう。
数日続いた夏期講習は今日で終わり。
しばらくは休息が取れそうだ。
ここのところ、講習用のプリントを作ったりテストを採点したりでなかなかチャットに行く暇がなかったな。
皆は何を話しているのだろう。
僕も早く参加したいな。帰ったらすぐやろう。
独り、放課後の職員室でそんなことを考えている時だった。
鞄を手にし、椅子から立ち上がる瞬間に電話が鳴り響いた。一体誰だろう?
「は、はい。K中学教師の島崎ですが……」
「あ、先生? 林田奏の母親です。お世話になっております。あのー、今日の授業ってまだ終わらないんですか? 家の子まだ帰ってきてないんです……」
「えぇっ!?」
つい拍子抜けた声を出してしまった。
ちらりと壁に掛けてある時計に目を移した。
午後二十時を過ぎたところだった。
今日の講習は四時間も前に終わっている。
遊んで帰るにしても、中学生にとっては遅い時間帯だ。
最悪な状況を想像してしまい、滝のようにどっと汗が流れた。
林田はどこまで僕を苦しめるつもりだろう。
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