化け物と鬼

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目を覚まし、雪のように白い空間を眺める。 ああ・・・私は もう戻れない。 分かっていたはずだったのに。 向こうの世界で人を殺してから。 「仕方ないですね・・・」 そういって玲奈は起き上がる。 そして気づいた。 看病されていたと。 「お礼をしなくてはなりませんね」 雪鬼を探すために、部屋の中を見渡す。 氷のように透明で美しい椅子と机。 その上に置かれた白い皿や器。 窓の外に見える吹雪。 「あれ?起きたんだ!今からご飯にするつもりだったんだけど、一緒に食べる?」 唯一あった扉から美しい料理の数々を持って出てきた雪鬼。 「ありがとうございます。お言葉に甘えてご一緒させていただきますね」 玲奈たちは食事を始めた。 「ところで玲奈ちゃん、はじめ敬語じゃなかったよね?」 突然の質問。 「私、興奮したり、余裕がなくなると、口が悪くなるんですよ」 そっちが素だからとは声に出さずに、答えた。 それからは、お互いの人間からの対応に怒る。 雪鬼が玲奈を 化け物じゃない といった。 そして思った。 雪鬼は私が守る。 仲間にしようと。
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