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雪鬼が玲奈から離れたとき、玲奈の左肩、左腕はきれいに肉だけがなくなり、まるで理科室に置かれている人体模型のようになっていた。
玲奈の目の前には、自己嫌悪に浸る雪鬼の元の姿。
「とても美しかったですよ・・・そして、いくらでも食べてください。私は雪鬼の非常食です。それに、治してくださるのでしょう?」
玲奈の言葉に、雪鬼は勢いよく顔を上げ頷く。
「私が、玲奈ちゃんの魔力なんだもんね!!」
そう宣言して、玲奈に向けて魔力をあてる。
冷たく鋭い印象を与える雪鬼の魔力は、玲奈に吸収され、玲奈の体は少しずつ、しかし前よりも確実に早く治っていった。
「やはり、雪鬼の魔力は美しいですね」
治された手をうごかし、感触を確かめながら雪鬼に話しかける。
「ではいきましょうか」
にこりと笑い、雪鬼の家の扉を開く。
そこが
吹雪の中
の山の上だと忘れて。
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