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吹雪の中家の外に出た玲奈は、当然というのか、その寒さに耐えきれず意識を飛ばす。
それを見た雪鬼は、玲奈を抱え転移魔法を発動するが、その魔力を玲奈に吸われ一キロもしない地点に移動。
それを繰り返した結果、玲奈は有り余った魔力を持ち、雪鬼は魔力が枯渇して意識を失った状態で町の入り口にたどり着いた。
「大丈夫か?」
突然現れた玲奈たちに驚くものの、門番は雪鬼を心配し近寄ってきた。
「すいません。大丈夫なのですが、休ませたいので、町の中に入れてもらえませんか?」
「ああ!わかった!通行を許可する!!」
門番が叫ぶと、端にある小さな扉が開いた。
それを確認すると、玲奈は雪鬼の体を抱きかかえ町の中に入った。
そして、すぐに脇道に入り、裏の裏・・・スラム街のような場所で雪鬼の体を抱えたまま座る。
そこへ現れる、乳飲み子を抱えた女。
女は痩せていて、本当に骨と皮だけのようだった。
「何か・・・何か食べ物を・・・・」
その言葉に女を見た玲奈は顔をしかめる。
生命力である魔力のない子供を抱えた、同じく魔力のほとんどない女。
「何も持ってません。帰って寝てしまいなさい。苦しまないように」
玲奈の言葉に、女は絶望の中に倒れた。
「死にましたか。ああ、醜い。醜くて見てられない。私が浄化して差し上げますよ」
その言葉を聞いた周辺の住人が恐怖したのは、いうまでもなかった。
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