生と死

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眩しい。 私はそう感じた。 いや。そう感じるくらいに白い空間に私はいた。 その玲奈の前には人当たりの良さそうな、白い服の男。 男は細身で美しい。 口の端が上がるのが止められない。 「あなたは、一万人目の幸運な死者ですから、異世界への切符が手に入りました!!!」 玲奈の変化に気づかず、男は話を進めていく。 「おめでとうございます!あなたの望むものを与えたいのですが、これは運ですので、これで決めます!!」 男が出したのはサイコロ。 普通のスーパーで売っているような。 玲奈はサイコロを受けとり、床と思われる場所に落とす。 コロコロと転がり、出た目は四。 「んー・・・四かぁ。ま、いいや。四は不老不死の身体に死ぬ前の五倍の身体能力。すべての知識に魔力の見える眼。ちょっと弱いけど、負けはしないでしょ」 男は一人呟き、玲奈を見て微笑む。 「じゃ、色々決まりましたし、おやすみなさーい!!」 男の言葉で、身体が動かなくなり、意識が遠退き始めた。 「つ・・・・たら・す」 焦点の合わない眼で、男をにらみ告げた。 と、同時に玲奈の身体は透け始め、白い空間には男だけになった。 「次会ったら殺す・・・ねぇ。楽しみにしておきまーす!」 男の背中から真っ黒な翼がはえ、男は姿を消した。 二人が出会うのは、近くはないけど、そう遠くもない未来だった。
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