感情の欠片

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「本線ね。私と組んだところで、まともな路線へは戻れないわ」 「承知の上さ」 「次の街で会いましょう」  アリトは薬瓶を弄び、音もなく立ち上がる。その身のこなしには卒がない。 「やはり、どんな服を着ても、君は君だね」 「からかわないで。気が変わるかもよ」  バー店のドアを開くと、ベルが鳴る。  蒼い稲妻が店内へ滑り込む。  店主は沈黙したままグラスの手入れを念入りにしていた。  やがて、ブギルも雨の中へと姿をくらました。  ナバルシティの夜が更けていく。  昼間の事件等、まるで忘れ去られたかのように。  時は動いている。  人の鼓動を徒に不安にさせて。  そちらこちらで、陰謀渦巻くラッド・サンド大陸に、雨は容赦なく降り注いでいた──。 終 エモーション・パズル 感情の破片
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