第1話 師匠と弟子の喧嘩は大体物に頼る

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春という季節はどうも苦手だ。 一年の中でも気候はいい時期かもしれないが、余りにも面倒なことが多い。 進級や、クラス替え…さらに節目の年であれば、これに卒業や入学などといったイベントまでもが加わる。 花粉症の鼻をすすりながら、俺は通学用の農業トラクターから降り校門へ向かって歩き出した。 俺の名前はイワモト。 この春、『私立 わたしの八百屋さん』へ入学した。一応普通科の高等学校のようである。 そう、俺は頭が悪かった。 「えー、今から入学式を始めます。」 とかなんとか言って入学式が始まった。 「まず最初は、校長先生のお話です。」 「いやです。」 「校長先生、ありがとうございました。」 俺としては早く終わってくれてありがたかった。 この後祝電披露や新入生代表あいさつなどが式次第に入っていたが、最終的に制服採寸がメインのプログラムとなった。 入学式が終わり、俺は自分のクラスへ向かった。 掲示によると俺は、『1年やるならやってやれ!あっぱれけっぱれど根性組』だそうだ。 1年生は全部で9クラスあり、『1年2年3年生、集合。』というクラスや、『2年3組』というクラスもあった。 教室へ入り自分の名札が貼ってある机に座って待っていると、しばらくして先生がやってきた。 「初めまして、事務のオオタです。」 先生じゃなかった。 そして、そのオオタという人物はこう続けて言った。 「今年一年、私が皆さんの担任として皆さんと一緒に勉強していきたいと思います。 どうぞ、よろしくお願いします。」 教員無免許なのに、今日この学校で見た学校関係者の中で一番まともだった。 こうして、俺の高校生活は始まったのであった。
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