感画描写9

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 深夜1時。終電から降りた私の体は、残業でへとへとだった。早くソファに体を投げ出したい一心で、足早に家路を進む。  自宅近くの小さな駐車場にさしかかったとき、はら、と、薄桃色の花びらが、私の視界を優雅に舞った。  はら、はら、はら。歩を進めるごとに、その数はふくれあがる。  頭上を仰ぎみると、びっしりと花に埋めつくされた桜が、歩道まで枝を伸ばしていた。まるで洋菓子の仕上げにふるわれる粉砂糖のように、桜はさらさらと歩道にふりつもっていく。  これだけ見事な桜だから、きっと朝から晩まで、花見客の相手をしてきたに違いない。深夜になってようやく客も帰り、ライトアップも消灯して、桜もやっと本日の営業は終了、といったところか。  なんだ、そうか。君たちも、私と同じ仲間だったのか。 「お疲れさま。明日もお互い、がんばろうな」  私は木の幹にそっと手をあて、同士をねぎらった。  あたたかな春の夜風が、私の心をふわりと揺らした。 (了)
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