SANDAI 26

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後ろから聴こえた音に、私は振り返った。 ばちゃばちゃと、犬が川の中へと入っていくのが見えた。 赤い首輪をつけているから、たぶん飼い犬なのだろう。 真冬の冷たい水の中だというのに、尻尾をぶりぶり振り回して、幸せそうに舌を出して。 あれが人間なら、とんだキチガイだろうに。 多くの人が見ている路上で小便大便を垂れようが、何もしていないのにギャンギャンと吠えつかれたせいで朝からこちらの気分がガタ落ちになろうが、奴らは迷惑防止条例にはかすりもしない。 それもこれも、彼らが犬だからという理由だけで許されているのだ。 全くもって、理不尽な話である。
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