1章 色の無かった日々

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「…渚かよ…もうちょい加減というものを知ろうよ…」 ため息を交えながら隼人は呆れるように言うが 「隼人の元気が無いから私のエネルギーを分けてあげたのよ!」 と、無邪気な笑顔で渚は言い返す。 「渚は人に分けるぐらいが丁度い…ってぇ!」 と、渚からの突然の肩パンが入り思わず顔が歪む少年に渚は… 「それぐらいの面白い事が言えれば隼人にも、もう少し友達出来るんじゃない?」 「面白かったんなら素直に笑ってくれてもいいのに」 「もう一発いっとく?」 「いえ、結構です…」 村井渚は少年とは対照的に新しい友達も出来て、ソフト部に所属しており既に練習にも参加していて正に高校生活を楽しんでいた。 そんな渚は、少年…風上隼人の彼女であり彼にとって数少ない、高校の中で一緒に行動でき、気軽に話せる存在である。 「まったく…隼人もなにかすれば?」 渚は隼人に言う。 「え?するって…何を?」 隼人は困惑した表情で聞く。 「そりゃ、友達作りとか部活動よ…」 今度は渚が呆れた様な表情を見せる。 「えー…別に急がなくても良くない?」 「だって…隼人、大体一人じゃん。なんか寂しくない、それ?」 「うーん、けど…なんか……」 隼人は苦笑いをしながら言葉に詰まる。 「中学生の頃は沢山いたじゃん」 それでも渚は続ける。 「そーだけどさ…あいつらいい奴だったからさ…」 そう言うと隼人も渚も遠い目をする。 「皆、元気にしてるかなぁ…」 渚はそう言って微笑んだ。 「さぁねぇ…時間間に合うかな?」 「走る?」 「そうだね…て!渚っ…ちょっ…待ってよ…」 「早く早く!」 そのまま2人は走って行った…
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