4章あの場所から見た景色

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「まぁ、それはいいとして…さ」 華はため息混じりに切り出す。 「いよいよ本番まで、2週間をきったね」 そう言った瞬間、その場に緊張が走った。 「早いなぁ」 ヒカルは感慨深そうにつぶやく。 「いよいよだね…」 志田も表情が強張る。 渚にいたってはその場の空気によって何も言い出せずにいた。 しばらく全員、何も語ること無く口を閉ざした。 「まぁ、俺らは出来る事をしよう」 隼人はそんな空気を一蹴するかの様に言いだした。 「確かに先輩達と野球が出来るのもあと少しかもしれない…」 と、隼人は表情を曇らせたが 「でも、少しでも一緒に野球するためにもさ、俺たちの出来る事をしていこうよ!」 再び笑顔でそう言った。 「そーだな!」 と、言いながら持っていた箸を置くヒカル。 「風上君の言う通りだね!」 志田の表情も穏やかになった。 「うちらマネージャーも頑張るよ!」 と、華も弾ける様な笑顔で言った。 「皆、頑張ってね!」 渚もやっと声をかける事が出来た。 「もちろん!」 と、バラバラながらも同じ返事が返った。 それが少し可笑しくなり、クスッと少し笑った。 「隼人も頑張ってね!」 渚は同じ言葉を隼人にも送る。 「頑張る」 と、決意に満ち溢れた一言で返した。
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