第二章―Darkness Blade,Light Blade―

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――早朝、COSMOS本部ビル・天井龍我の自室。 「ふあぁあ……」 覚醒した龍我はベッドから上体を起こし、大きく伸びをした。 「……」 龍我は冷蔵庫から缶コーヒーを取り出しそれを一気に飲み干すと、空き缶を握り潰してゴミ箱に放り投げた。 瞬間、コンコンとドアをノックする音。 「誰だ?」 龍我がドアに向き直り、短く尋ねる。 「俺だ」 ドア越しから如月輝流が短く答えた。 「輝流か……」 龍我はベッドから立ち上がり、ドアを開けた。 「ああ、入らしてもらうぜ」 輝流は龍我の部屋に上がり込む。 「で、何か用か?」 「いや、特に用はねえけど暇だったんでな」 輝流は龍我の問いにそう答えて、テレビのリモコンに手を掛け、電源を入れた。 「おい、勝手につけんじゃねえよ」 龍我は輝流を戒める。テレビ画面には報道番組が映っており、キャスターがニュースを読み上げている。 『昨日○月○日、各地で警察関係者が相次いで失踪する事件が……』 「失踪か……」 輝流は龍我の注意を無視し、テレビを注視する。 「人の話を……」 龍我は再び輝流を咎めようとするが、次のキャスターの言葉を聞くと輝流と同じようにテレビ画面を注視しだした。 『失踪した警察関係者の衣服には共通して胸部に刃物で刺されたような穴があり、血液は全く付着しておらず、現場にもそれ以外の痕跡は一切残っていないとのことです』 「これ、もしかして……」 龍我が訝しげに呟く。仮に失踪した警察関係者たちが何者かに“殺された”とすれば……指紋一つ残さず、血痕すら残さぬ手口。人間業とは思えない。 「まさか、カオスの仕業か……?」 輝流が龍我と顔を見合わせる。龍我は小さく頷いた。 「かもな……まだ指令は出てねえが、備えといた方がよさそうだ」 龍我はそう言って壁に掛けた黒いコートを羽織り、愛刀“神龍”の入った布袋を手に取る。 「ああ、そうだな……先に修錬場行ってろ」 そう言って、輝流は龍我の自室を後にした。 「ああ、わかった……って、テレビつけたまんまかよ」 龍我は苦笑しながらテレビの電源を切り、自室を後にして修錬場へ向かった。
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