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侑都に食べられながら、俺は諦めて目を閉じた。
信濃川はゆっくりとカーテンの色に擬態し始める。
俺はこの先、どれぐらい秘密を抱えていくんだろう。
侑都と恋人なのもナイショ。
信濃川を飼っているのもナイショ。
莫大な遺産を持っているのもナイショ。
侑都が野性的で大好きなのもナイショにしとこう。
そして、未だに恋人なのにキス以上は踏み止まってたのもナイショ。
「あっ」
しーっ
漏れてしまった声を、侑都が妖しく笑って、キスで隠した。
「その可愛い声、誰にもナイショ」
ああ、どんどん秘密が増えていく。
侑都にしがみつきながら、カーテンが揺れて外が見える。
気づかれないように気づかれないように、
俺は、頑張って声を殺した。
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