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俺は、昔から動物が好きで。
侑都から逃げるように独り暮らしを始めた時に、ペットショップでアルバイトを始めた。
だから野性的な侑都を放っておけなかったのかもしれない。
侑都は俺が餌みたいだし。
だから野性的で人間になついても媚びないような、格好いい爬虫類が好き。
好きなんだけど……。
「ほら、信濃川っ 餌だぞ」
「侑都ー!!!!」
空の段ボールに捕まえては入れ、捕まえては入れ、を繰り返していたら侑都が信濃川を水槽から出した。
ぺろりんと長い舌でコオロギを飲み込んで行く。
「バカ、そんなに食べたらお腹壊すぞ、信濃川っ」
俺がコオロギと信濃川でパニクってると、侑都は信濃川の胴体に紐を巻き付けてカーテンレールと結びつけた。
そして庭への扉を開けて、俺を見てニヤリと笑う。
「放っておけばコオロギは庭に逃げるし、窓開けたから声出したら回りにバレるよ?」
「!!?」
わ、悪い顔した侑都がじりじりと俺に近づいてくる。
こいつ、本気だな!
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