大魔人の来襲

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 正義は部屋の中を眺めて、頭に巻いたタオルを取って顔を拭った。 (一仕事終わると、何にしてもいいもんだ!)  引越しをしただけにしては、満足そうな正義だった。  正義は、改めて片付け終わった室内を眺めると、おもむろに、電子葉巻を作業服の右胸ポケットから取り出して、スイッチをいれる。  何事も、形から入る正義だった。 「なにひとりでしたような、顔してんだい」正義の顔面を、右手一本でフェイスロックした大柄な女性が、真っ赤な髪を振り乱して怒鳴っていた。  正義の奥様柳子である。  正義より頭ひとつ分背の高い柳子は、その鍛えた怪力で顔面を握りつぶしていた。 「さっさとトイレ掃除をしてきな!」柳子に怒られる正義は、しょぼんとして掃除に行った。 「全く面倒を看きれ無いよー。引越しそっちのけで、いらない工事をするなんて」怒りがなかなか収まらない柳子であった。 「ただいまー」部屋の外で巨人の肩に乗った、鈴がはしゃいでいた。 「おかえり、鈴」柳子は優しく微笑んで、アキラから鈴を受け取った。  実は柳子がレジデンス茜台の駐車場へ行って見ると正義達が必死に工事をしていたのだ。  むろん柳子に拠るみぞおち3連打と、2㍍からのパワーボムが見事に決まって正義達はシオシオと、元に戻した。  迷惑なオッサンである。
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