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「このマグカップ…」
そこにはペアのマグカップが置かれ、私の前にはピンク色のカップがあった。
「小百合ちゃん、水色が好きって言ってたけど、そのマグカップがあまりにも可愛いから、それにしちゃった」
顔がまともに見れない…
不覚にもまた、ドキっとしてしまった…
食事が終わり、課長に送ってもらった。
帰宅してすぐ、仕事用の鞄からノートを取り出し、今日礼拝堂で思いついた企画を書きだす。
ピリリ…
携帯を開くと、課長からメールが届いていた。
『今日はありがとう。 小百合ちゃんと一緒の時間を過ごせて嬉しかった。おやすみ』
「はぁ…」
今日1日、課長と過ごして買い物したり、家に行ったり、腕掴まれたり…
今までの私では考えられない行動だよね…
いけない、いけない。
首を横に振り、余計な気持ちを捨て、ノートに目を向ける。
この時の私には、閉ざされた自分の心を開く勇気などなかった…
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