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でも、そんな夕方の母の姿を見て先生は、
『小百合ちゃんのお母さんは素晴らしい人だね。
毎日、一生懸命仕事してるのは小百合ちゃんが大切だからだよ。
だから、僕は小百合ちゃんのお母さん好きだ。もちろん、小百合ちゃんも』
そんな風に言ってくれる人は初めてだった。
周りの人が何を言ってるのかは、分からなかったが、いいことを言っていないのは分かっていた。
でも、先生はそんな母のことを大切に想ってくれていて、母も先生の前では仮面を被らず、すっぴんで、香水をつけていなかった。
少しの時間でも、一緒にいられる。
このまま、この温かい関係が続けばいい。
続く筈だと思っていた。
でも…
そんな願いも空しく、
その関係は壊れてしまった。
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