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入るとすぐ、いつもなら騒がしい子供達が出迎えてくれるけど、今日は学校に行っているようで、家の中はシーンと静まり返っている。
奥からパタパタと音がし、顔を上げて見ると、先生はいつもと変わらない笑顔で出迎えにきてくれた。
「恵先生…」
「小百合ちゃん、お帰り」
課長は私の手を握りしめ、『上がろう』そう言って奥の部屋へ進んでいく。
目の前には恵先生。隣には手を繋いだままの課長。
何て切りだそう…
なんか緊張して言葉が出てこない…
そんなことを考えていると、
「小百合ちゃんに話す時が来たのね」
恵先生もまた緊張した様子で私を見つめていた。
「恵先生…母は事故ではなく、癌で亡くなったって…本当ですか?」
ずっと、聞きたかった。
恵先生の口から真実を。
「えぇ…あなたのお母様は癌で亡くなられたの」
やっぱりそうだったんだ…
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