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「小百合ちゃんに言ってはいけない理由を教えて欲しい。って言ったら、あなたのお母様は私を真っ直ぐ見つめて、
『あの子には今まで散々、辛い思いさせてきて、今も苦しい思いをしながら頑張って生きてる。
きっと私の病気のことを知ったら、自分のせいで、自分がいたから私は病気になったんじゃないかって…一生、悩み苦しむと思うんです。
あの子には苦しんだ分、幸せになってもらいたい…
だからこれ以上、小百合が苦しまない為にも、私が病気で亡くなったとは言わないで下さい。お願いします』
体を動かすのは困難でしょうに、あなたのお母様は必死で頭を下げてて…
その姿を見て、私はお母様との約束を守って、小百合ちゃんに隠すことを決意したの」
お母さん…
自分が病気で苦しい思いしてたのに、私のことばかり考えてくれてたんだね…
廣野先生が言ってた通り、最後の最後まで、自分のことより私や先生の幸せを願い、黙っておくことを決断した母の思いを考えると、涙が止まらなかった。
課長からハンカチを渡され、目にあてていると恵先生は口を開き、
「その話には続きがあるの」
「聞かせてもらってもいいですか?」
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