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「凄く幸せそうな顔して、その人のことを話していたわ。
『あの人に迷惑かけたくなくて、永遠の別れを選んだけど、私の心の中にはあの人しかいない。
あの人も7年の間知らない土地で自分のことを想い続けてくれていた。
それだけで十分。
もう、そばにいることは出来ないけど
あの人の素敵な笑顔も、優しいとこも、少し強引なとこも、永遠に私の胸の中で生き続ける。
あの人を想いながらあちらの世界に行けるのだから、こんなに幸せなことはないんです』
満面の笑みで、そう言ってたわ。
あの笑顔、今でも忘れない…
忘れられないの…」
恵先生もまた、涙ぐんでいた。
お母さんも廣野先生と同じ気持ちだったんだね…
あぁ…そっか、やっとわかった。
先生が独身だって聞いて、ホッとした理由。
自分でも気づかないうちに、本能でお父さんだって思ってたんだ。
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