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「それからしばらくして姉さんから連絡があって、翔を仕事と勉強を兼ねてアメリカに行かせたい、って言われたの。
私の所に来ては、会わせてほしいって頼みに来てたからどうしようかと悩んでた矢先のことだった。
だから翔に、アメリカに行っても小百合ちゃんへの想いが変わることないなら、あなたの望み通り小百合ちゃんに会うことを許すわ。
そう伝えると、『少し考えさせて欲しい』それだけ言うと帰って行った。
そして、あの日が来たの…」
あの日って…
多分、クリスマスの日のことだ。
「小百合ちゃんは無言で何も話してはくれなかったけど、酷く辛いことがあったんだろうってことと、メイクを見て、翔がしたってこともわかった。
次の日、小百合ちゃんは何事もなかったようにバイトに行ったけど、心を閉ざしてしまった…
翔を呼んで、何があったのか説明するように言ったの。
やっと、心を開いてくれたのに、また閉じてしまうのか…
そう考えると悲しくて堪らなかった」
恵先生が私に何も聞かなかったのは、わかっていたからだけじゃなくて、自分のことのように、傷ついてたからなんだ…
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