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「話に夢中になってたから、お茶出すの忘れてたわ。ちょっと待ってて」
恵先生が立ち上がった瞬間、
「伯母さん、お茶飲んでる時間はないんだ」
私の方を見つめ、課長は断っている。
あっ、仕事中だってこと?
でも…お茶ぐらい飲んでも大丈夫だと思うんだけど…
「小百合ちゃん、会社で時間気にしていたけど…
何か大切な用事があるんじゃない?」
あっ!!
廣野先生の見送りに行かなきゃ!!
「恵先生ごめんなさい。私、行かなきゃいけないとこあるので、これで失礼します。
課長、会社に戻る前に空港に連れていってもらえませんか!?お願いします」
課長はニッコリ笑い、
「じゃあ、行こう」
そう言い、手を繋いだまま玄関に向かう。
「恵先生、また来ます」
「小百合ちゃん、待ってるからね。
子供達もプレゼントより、小百合お姉ちゃんが来てくれるのが何より嬉しいんだから」
コクンと頷き、助手席に乗り込む。
車内では何を話すわけでもなく、手を繋いで課長の温もりを感じながら、車は空港へ向かっていた。
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