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頭を撫でながら先生はニッコリと微笑み、
「うん、知ってた。百合さんには違うって言われたけど、嘘ついてること気づいてた」
えっ、知ってたの!?
「百合さんが僕以外の男性と会ってるなんてことはなかったし、これでも、医者だからね。
予定日より少し早めに産まれたみたいだけど、間違いなく小百合ちゃんは僕と百合さんの子供だよ」
先生は初めからわかってて、お母さんに嘘ついてると問うこともなく、そばにいてくれたんだ。
「小百合ちゃんを初めて病院で見たとき、百合さんに似てるって言ったけど、違うとこもあるんだ」
「違うとこ…ですか」
「透き通った茶色の瞳に、サラサラの髪の毛、少し長めの手の指に、爪の形。
小百合ちゃんは百合さんにも似てるけど、僕にも似てる。
あの時から僕の娘だって気がついてたんだ」
親なんかいなくても生きていけるって今までずっと思ってた。
でも、目の前に、お父さんがいる。
そのことが、今の私には凄く嬉しい。
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