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この1ヵ月、先生と色々な所に連れて行ってもらい食事したけど、今日は母と先生の特別な場所に来た。
目の前には、出来立てのオムライスとロールキャベツ。
先生との食事は楽しくて、オムライスとロールキャベツは美味しいはずなのに、今日は違った。
先生にばれないよう、必死に笑顔で食べるけど…苦しい。
カチャッとスプーンを置く音がして、先生の顔を見つめると、悲しい顔をしていた。
「先生?」
「小百合ちゃん、僕…1週間後、九州に戻るんだ」
「…そうなん…ですか…」
先生が東京に来てから、もう1ヵ月半経つんだ…
先生といる時間は安心を与えてもらっていて、父親といるってこういう感じなんだろうな…なんて会う度思ってた。
今の私には、その安らげる場所が支えになっていたのに…
今日は聞きたくなかった。
苦しくて、悲しくて、どうしようもないくらい、胸が痛いのに。
先生が帰ってしまう。
抉れた胸の傷が広がっていくようだった。
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