~19章~ #2

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1週間はあっという間で、先生が九州へ戻る日になってしまった。 『見送りは来なくていいよ』 なんて言ってたけど、行けるのなら行きたい。 でも、ついてないことに今日は撮影前日。 定時で終わることが出来たら間に合うんだけど…今日は無理だよね。 はぁ…諦めなきゃ仕方ないよね。 会議室に集まって最終確認しているのだけど、無理だと分かりつつ時間が気になってチラチラと時計を見てしまい、全然仕事になってない。 そんな時だった。 課長が突然立ち上がり、 「沢田課長、申し訳ありませんが、衣装を頼んでいる方の所へ行かなければいけませんので会議を中断させていただきたい」 そう言うと同時に課長と目が合い、 「七瀬さん、衣装担当の人が待ってるから行こうか」 えっ、私も!? 「課長、俺も一緒に…」 「紺野、お前は呼ばれてない。七瀬さんと俺に来いと言ってるんだ。わかったら言われた仕事をきちんとしておけ」 課長に手を掴まれ、会議室を出てエレベーターに乗り込む。 紺野君が何か言ってたけど、掴まれた手にドキドキして、耳に入ってこなかった。 .
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