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「薫、予定変更。先にクール系の撮影をするから」
クール系って、色っぽい顔しなきゃいけないんだよね…
元々、そんな顔できるわけないのに、この状態でしなきゃいけないなんて酷すぎる。
「翔、大丈夫なのか?」
多分、周防さんは私を気遣って翔さんに言ってくれてるんだろう。
その気持ちは嬉しい。
けれど、親友である周防さんでも翔さんが言い出したことを止めることは不可能だろう。
「課長、先にお礼言っときますね。
小百合先輩の色っぽい顔見させてもらえるなんて、本当ありがとうございます」
ここから逃げ出したい。
そんな顔できないけど、彼に見られるのは嫌だ。
スタジオを出ようと立ち上がると、翔さんが直ぐ様私の肩を持ち、座らせ、
『心配しなくていいって言ったでしょ?』
そう囁くと同時に、振り返り紺野君を見ている。
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