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「何も知らないくせに、小百合ちゃんとお母さん2人を侮辱するあいつが許せなかった。
でも、1番ムカついたのは何も出来ない自分に対してだった」
少し強く握られた手から感じる課長の想い。
あの日、傷ついたのは私だけではなく、課長もまた傷ついていたんだ…
「我慢できなくて、その場に行こうと足を出した瞬間、
『変なこと言ってごめんなさい。
私はあなたの彼女には相応しくないから、友達に戻ろう。
今日はありがとう』
あんな酷いこと言われたのに笑顔で言うから、俺の出番なんてなくてさ」
あ…そういえば、そんなこと言ったな…
言われた内容がショックだったから、あんまり覚えてはいないんだけど。
「恵みの家に帰らずここに入る小百合ちゃんが心配で、扉を少し開けると泣いてた。
ここは小百合ちゃんにとって大切な場所で、誰に頼ることなく辛い時、悲しい時、ここで1人泣いたり落ち込んだりしてると思ったら胸が苦しくて…
今の俺に何ができる?
どうしたら、小百合ちゃんの涙を止めることができる?
自問自答した…」
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