~20章~ #2

5/17
前へ
/35ページ
次へ
「右手に持っていた鞄を見て、今の俺ができることはこれしかないと思った。拒否されるのは覚悟の上で小百合ちゃんの前に立ったんだ。 まぁ、案の定、 『ほっといてもらえませんか!』 って言われちゃったけどね」 ハハ…そうでしたね… 「あの…すみませんでした」 だって、そんなこととは知らなかったんだもん。 課長はクスッと笑い、 「でも、俺も名前名乗らずに小百合ちゃんに1番似合うメイクして、俺のこと胸に焼きつけて忘れさせないように、 『きっと、君とこうして会えたことが運命なら、また会えるから…』 なんて言い残したからおあいこだよ」 確かに。そのことがあったから私はこの道に進んだんだから。 この仕事をしていたらいつか、どこかで出会えるかもしれない。 もし、出会えたらその時はお礼を言わなきゃって決めてたし。 .
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

512人が本棚に入れています
本棚に追加