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「右手に持っていた鞄を見て、今の俺ができることはこれしかないと思った。拒否されるのは覚悟の上で小百合ちゃんの前に立ったんだ。
まぁ、案の定、
『ほっといてもらえませんか!』
って言われちゃったけどね」
ハハ…そうでしたね…
「あの…すみませんでした」
だって、そんなこととは知らなかったんだもん。
課長はクスッと笑い、
「でも、俺も名前名乗らずに小百合ちゃんに1番似合うメイクして、俺のこと胸に焼きつけて忘れさせないように、
『きっと、君とこうして会えたことが運命なら、また会えるから…』
なんて言い残したからおあいこだよ」
確かに。そのことがあったから私はこの道に進んだんだから。
この仕事をしていたらいつか、どこかで出会えるかもしれない。
もし、出会えたらその時はお礼を言わなきゃって決めてたし。
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