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「課長、怒られるって…」
「ん?俺と同じように小百合ちゃんの心配している人がいるでしょ?
小百合ちゃんに近寄ってくる男達に、いろいろ釘を刺してたみたいだね。
それがきっかけで噂が流れたみたいだよ」
美里が?
私のためにそんなことまでしてくれていたなんて…
「私…ずっと逃げてばかりで、皆に優しくされるような人間じゃないのに…
なんで…私なんかの為にここまでしてくれるんですか…」
フッと微笑むと同時に、課長は私の頬に触れ、
「それは小百合ちゃんが変わることなく、優しくて、周りを幸せな気持ちにしているからだよ。
心を閉ざしても、生まれ持ったものは自然と出てくる。
例えば、男と仕事するのも嫌なのに丁寧に社内案内してくれて、煙草吸わないのに気遣ってくれたりとか、
怪文書のことで小百合ちゃん自身が傷ついてるのに犯人のこと心配していたりとか、
制作部のカメラマンに嫌がらせされてたのに、彼女の腕を認め、一緒に仕事してきたこととか、
沢山ありすぎて、今、全てを言うことは出来ないけど、小百合ちゃんのそういう優しさに皆惹かれ、そばにいて助けになりたいって思ってるんだよ」
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