~20章~ #2

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~20章~ #2

好きな人の姿が見れない。 もし、私が課長の立場だったら、素直に行くと言えるだろうか? いや、多分、言えない。 お父さんが迷っていたように、課長もまた、私を想い悩んでいたんだと思うと、知らなかったとはいえ、申し訳ない気がしてくる。 そんな私の気持ちが伝わってしまったのか、繋いでないほうの手で繋いでる私の手にそっと触れ、何かを言うわけではないけど、気にしなくていいと、言っているようだった。 「小百合ちゃんに話しかけることも、存在すら知ってもらえない。 そんな俺が、小百合ちゃんに好きになってもらうことは不可能に近い。 小百合ちゃんは全然気がついてなかったけど、通りすぎる男は必ず小百合ちゃんを見てるし、仲良くなりたい、付き合いたいって思ってる男も沢山いたんだよ。 俺は他の男達より不利な立場なのに、アメリカに行くなんて言えるわけなかった。 そんな時、小百合ちゃんに彼氏ができたと恵伯母さんから聞かされたんだ」 .
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