~29章~

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あの夜から振動し続けている携帯。 全て周防さんからの着信。 『小百合ちゃん、連絡して欲しい』 毎日、毎日、撮影の合間に留守番電話に吹き込まれるメッセージ。 それに応えることは出来ず、消去した。 この1週間、翔さんからは何の連絡もない。 藤嶺グループの社長… これが現実だとしても、私は全てを信じた訳じゃなかった。 本当は違うかもとか… もしかしたら、真実はそうじゃないのかもしれないとか… ほんの少しの希望を捨てられずにいた。 母の親友の名前を知っている父にメールしたり… 翔さんの子供の頃の写真を探したり… だが、真実だと証明される物を見つけた瞬間、私のほんの少しの希望は見事に無くなった。 .
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