~29章~

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迎えに来てもらって、そのまま何事もなかったように家に帰ることが出来る? 絵理子さんは断れないって言っていたけれど、きっと翔さんは藤嶺グループの社長就任の話は断るだろう。 立場とか家柄とか、彼にとってそんな事はどうでもよくて… ただ私との生活だけを考えてくれている人だから。 結婚すれば…私は、愛しい人の過去だけでなく、未来までも奪ってしまう… 何も聞いてない、知らない、と自分に言い聞かせ気持ちを押し通せば、毎日愛しい人と一緒にいられる幸せな生活が待っているのかもしれない。 けれど…その生活はきっと私にとって罪悪感しか残らないと思う。 真実を伝えれば… 私以上に翔さんが傷つく。 翔さんを思い、恵先生達が隠してきたことを私が壊すなんてこと… それが本当の幸せ…? 望んでいた生活なの…? 震える手でメールを返信し、私はある場所へ向かった。 .
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