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一歩、また一歩と私に向け足が進められ、そして目の前に。
「小百合、ただいま」
「…おかえりなさい」
ん?と首を傾げ、
「少し鼻声だけど…小百合、風邪ひいたの?」
風邪ひいてることがばれてはいけないと、咳をしないよう気をつけていたのに、やはり翔さんに見破られてしまった。
「うん、少し…でも、大丈夫だから」
そう伝えても心配そうに私の顔を覗きこみ、おでこに手を置こうとしていて…
その手を避けるように、後ろへ下がった。
「小百合?」
「風邪うつるといけないから…」
触れられれば……
その手を…
あなたの全てを、愛しいと想う気持ちが止められなくなるから…
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