~29章~

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「また、そんなこと気にして」 この笑顔…… 私が1番好きな翔さんの表情。 私にしか見せない、その顔を目に焼きつける。 「あっ、そうだ。ここに来たら渡そうと思ってたんだ」 そう言うと、コートのポケットに手を入れ何かを取り出し始めた。 「出来上がったって連絡もらったから、ここに来る前に受け取りに行ってきたんだ」 真っ白の箱から取り出された愛の証。 「小百合。左手出して」 2か月前、オーダーで注文していた婚約指輪。 そんな高いのいらないって言ったのに、全然聞いてくれなかったっけ… 「どうした?」 「…んなさい」 「えっ?今、何て…」 泣かない、泣いちゃ駄目。 これは、私が受けるべき罰なのだから… .
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