~30章~

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「父も直斗さんのことは気に入ってたし、百合ちゃんが秘書になり泉と直斗さんを支えるということで結婚は認められた。 けれど、それは調理師になりたいという百合ちゃんの夢を奪った瞬間でもあった。 芹華、清華、麗華、そして翔。 あの子達が産まれてこれたのも、九条グループが今日まで続けてこれたのも百合ちゃんがいたからなの」 きっと、お母さんは調理師という夢より泉さんが大切だったんだ。 父との思い出の場所で、オムライスとロールキャベツを食べる度に、どうしたら美味しく作れるのかと悩んでいたのは夢を諦めた訳ではなかったからなのかもしれない。 「父が頼むだけあって、百合ちゃんは仕事をこなし、その合間には育児を手伝ってくれていた。 忙しい日々のせいで、百合ちゃんの自由な時間は全くなく、結婚はおろか恋人も作らない生活。 いつも百合ちゃんの周りには男性がいたのに誰にも興味を示さないし、紹介しようとしても今は必要ないからって言われちゃうしね。 そんな時、泉が4人目を妊娠し、出産。 百合ちゃんが結婚するのはいつになるのだろうと心配していた矢先の事だった。 小百合ちゃんのお父さんと出会ったの」 .
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