~29章~ #2

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手の中の指輪が、カランと音をたて床に落ちた。 「…俺のこと、もう愛してないってこと?」 「はい」 もう伝えることは出来ないけれど… 心の底から、あなたを愛してます。 あなたを想うこの気持ちは誰にも渡さないから… 「小百…」 そして、私は最後の力を振り絞り、彼に微笑む。 「もう、何もお話することはありません。 あなたも私の事は忘れて、素敵な方と幸せな家庭を築いて下さい。 では、翔さん…いえ、九条課長、お元気で」 神様… 今、私、最高の笑顔で笑えてるでしょ? だってこの笑顔は真実。 翔さんの未来を… 幸せを祈る、嘘偽りのないものだから。 .
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