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手の中の指輪が、カランと音をたて床に落ちた。
「…俺のこと、もう愛してないってこと?」
「はい」
もう伝えることは出来ないけれど…
心の底から、あなたを愛してます。
あなたを想うこの気持ちは誰にも渡さないから…
「小百…」
そして、私は最後の力を振り絞り、彼に微笑む。
「もう、何もお話することはありません。
あなたも私の事は忘れて、素敵な方と幸せな家庭を築いて下さい。
では、翔さん…いえ、九条課長、お元気で」
神様…
今、私、最高の笑顔で笑えてるでしょ?
だってこの笑顔は真実。
翔さんの未来を…
幸せを祈る、嘘偽りのないものだから。
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