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冬と春が終わりを告げ、あの日から7ヵ月という月日が流れた。
ジメジメとする梅雨時期にも関わらず、私は1人秘密の場所で昼食をとっている。
周りは翔さんが赴任する前と変わらない日常に戻っただけ。
私の生活も同じ時間に起きて、1人分のお弁当を作り、電車に乗って通勤する毎日。
何事もなく1日が始まり、終わっていく…
ただ…違うと言えば…
彼がいなくなった今も髪は切れず、伸ばしたまま。
本相手にときめいていたのに、今は開くことすらしていない。
いびつな折り鶴がそこを動くことはなく、今も同じページに挟まれている。
出会う前は1人でいるのが当たり前だったのに…
今は、ぽっかり空いた隣の席を、不自然だと感じてしまう。
でも、不思議と淋しくない自分がいる。
同じ空を一緒に見ることはもうないけれど、この空の下で彼が頑張って生きている、私達は繋がっているんだと思えるから。
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