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~30章~ #2
「小百合ちゃんが産まれてから翔は毎日楽しそうでね。
翔も百合ちゃんのご飯が大好きな子で、使用人の方のご飯はあまり食べない。
けれど、小百合ちゃんだけが家にいる時は見栄はって使用人の方のご飯を完食するのよ。
でも…その幸せな日々は続かず、あの事故の日を迎えた…」
どうして幸せな日々を続けさせてはもらえなかったのだろうか…
その日々が続いていたら母の幸せそうな顔を見ることが出来たのに…
愛する人と離れる事はなかったのに…
「桐生さん、お伺いしたいのですが、娘のせいで翔君は九条グループを継ぐことが出来なくなったというのは事実ですか?
それと、彼にはこの真実を伝えてはいないのでしょうか?」
お父さん…
「それは違います。九条グループを継がないと決めたのは翔自身ですから。
確かに、翔は泉が亡くなってから荒れた生活をしていたけれど、忙しい私達にどうにかして自分を見てもらおうとしていたのと、周りの女性が小百合ちゃんのように純粋ではなかったからです。
ただの甘えん坊で、心が弱く、泉と同じ我が儘だっただけ。
それと…小百合ちゃん。
翔はこの真実を全て知っていた…いえ、伝えていたの」
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