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さすがにもうすぐ始まると思うと、疲れより緊張の方が勝ってきた。
隣のお父さんを見ると、いつもより固い顔をしている。
「今日で小百合ちゃんはお嫁さんにいってしまうんだね…」
扉を見つめる少し寂しげな横顔。
「お父さん……今までありがとうございました…
今日でお嫁にいくけど…ずっとお父さんの娘だから。
これからは私と翔さん、2人でゆっくり親孝行するから長生きしてね」
私とお父さんが親子で過ごした時間は短いけれど、絆はどの家族より強い。
涙をグッと堪える姿は、どのお父さんより凛々しくて、やはり自慢の父親だ。
そして、扉は開かれ、バージンロードの先にはグレーのタキシードを着た翔さんの姿。
一歩、また一歩と足を進める。
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