二の焦点

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「えっ……?」 恐る恐る触れた足を掴んで……持ち上げる。 いや、持ち上げてしまったのだ。 軽い。 足しか無いのだ。 当然であろう。 生唾を飲み込んで足を離す。 ようやく、周りに倒れているモノの正体に彼女は気がついた。 「嘘……だ。こんな……」 彼女は首を何度も振ってから走り出した。 今度は躓こうと、倒れようと関係ない。 ただ、ひたすら此処から遠くに逃げるように走りつづける。 考えたくは無いが、足元に転がっているモノは全て人の塊のようだ。 闇の中に、刺すような光りが見えた。 いきなり見た光源は、網膜を焼くように痛い。 されど、そこがただ一つの出口だ。 そこを目指してひた走る。 自分の荒い呼吸音と、足元で響く水しぶきの音だけが耳に残っていく。 ようやく闇を抜けて、光の元に抜け出た。 光に目が慣れると、思ったより辺りが明るくない事に気がつく。 見渡した場所は、広い洞窟内部だった。 淡い青い光は、洞窟側面につく苔のせいのようである。 抜け出た先で、ようやく自分が血まみれな事に気がついた。 「何……これ」 振り向いた先ほど通ってきた道の奥には、折り重なって倒れる死体の山がチラリと見える。
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