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足元の水と思っていたモノは、死体から流れ出ていた血の泉だったのだ。
背筋に寒気が走る。
(何だよこれ、僕は一体……?!)
自分の体に外傷は無い。
しかし、足には何か違和感を感じる。
自分の手足を確認して、自分がまだ成熟した人間には程遠い年齢だと実感する。
すると、いきなり洞窟が揺れた。
耳を澄ませば、遠くから絶えず爆音のようなものが聞こえる。
(どうしよう……)
洞窟内部ではどちらが前か後かも、上への道なのか、下へ降る道なのかも判別出来ない。
少女は仕方なく音のする方向に進む事にした。
洞窟の道中には、幾多の死体が転がっている。
その中には青白い人間や、化け物の残骸のようなものも見えた。
(何だよ……これ?)
恐る恐るそれらを避けて、更に先に進む。
進むに連れて、何故か心臓が押し潰されるような、妙な恐怖が上がって来る。
本能が逃げろと警笛を鳴らす。
しかし、少女はまるで光に呼び寄せられる羽虫のように、そろそろとそこへ足を向けた。
高鳴る動悸を押し殺して道を進むと、足元に亀裂を見える。
そこから下の光景が見えた。
爆音はそこからしていたのだ。
覗き込むその先には、戦いが――いや、殺戮劇が繰り広げられていた。
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