二の焦点

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開けた空間で、黒い炎が生き物のようにうごめいている。 それが迫り来る巨人と、青い人間達を軒並み凪倒していく。 その周りを碧い雷光が駆け巡っているが、黒い炎には余り意味がないようだ。 (何……これ?) 意味の分からない光景に顔を歪ませる。 恐怖から少女は反対側に走り出した。 あの場所にいる事が、とてつもない危険を孕んでいると、記憶に無い筈の経験が語っている。 (何がどうなってるんだよ!) 少女はひたすら走った。 遠くへ、遠くへ。 ただひたすら遠くへ。 地獄の淵から、離れようともがく亡者のように。 その前にいきなり影が現れた。 洞窟を覆うような巨大な影が。 少女は息を呑んだ。 表現しにくい異形の化け物がうごめいている。 針鼠に鮫の頭を乗せて、身体全体から烏賊の脚を触手のように無数に出したような怪物だ。 触手の先端は気持ち悪いぐらい、リアルな人の手が付いている。 少女は口を押さえて後ずさった。 記憶がなくとも、明らかに危険なモノだと理解はできる。 伸びて来る触手の群れ。 それを少女は反射的に全て避けきった。 (体が勝手に動く?) 体に染み付いた体捌き。 それは、自分が戦闘経験を持っている事を示している。
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