二の焦点

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無意識に体に纏わらせた鎖から、輪環付きのチェーンを取り出す。 それを後退しながら回す。 空気を切る音から、妙な音が響き渡った。 「トーラス呪詠式・ソロ“吐き出す炎槌”」 チェーン・トーラスを持たない腕を突き出すと、そこに炎で出来た鉄槌が現れる。 間髪入れずにそれを横凪に払う。 打ち込まれた炎撃が、化け物を球遊びのように弾き飛ばした。 「やった!」 胸の前で小さくガッポーズをする。 そこでハタと気づく。 自分が魔術を使った事実に。 「魔術……? ボクは魔術師?」 不思議そうに手に握ったチェーン・トーラスを見つめる。 次に自分の体でジャラつく、チェーンの群れに輪環が散りばめられている事に気づいた。 (これが全て魔術触媒?) 再び手の中の輪環を見つめる。 その腕を、いきなり後から巨大な手に鷲掴みにされた。 「……?!」 恐怖から直ぐさま振り向く。 そこには先程の化け物とそっくりな、巨体が存在していた。 逃げようにも、がっちり掴まれた腕はびくともしない。 「嘘……?」 そのまま触手が残りの腕や足を掴んでいく。 鮫ような頭部で、赤い瞳が四つ輝き出した。 死に物狂いで身体を揺さぶる。
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