三の焦点

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朦朧とした意識を覚醒させたのは、頭に響く嫌な痛みだった。 偏頭痛のように、短い感覚でこめかみに痛みが走る。 (いっつ……。また……?) 目を開いたつもりが、辺りは真っ暗で何も見えない。 「また、ここ?」 両手足に激しい痛みが走る。 不思議に手足を見るが、真っ暗で何も見えないのは以前と同じだ。 仕方なく直に触れて確認するが、化け物に潰された筈の両手足に別段変わった所はない。 ただ、自分の体が濡れている触感が伝わってくる。 足元には、ぬめりのある液体も感じた。 この鉄臭いのは血の臭いだろう。 「さっきのは白昼夢? 訳がわからないよ」 レーヴェは立ち上がると、前に向かって歩き出した。 暗闇の中を、足元を気にしながらゆっくりと進む。 隧道に出てから、レーヴェは立ち尽くした。 例の戦場を逃げた先には化け物がうろついている。 不意打ちでなければ戦いようはありそうだが、記憶があやふやな状態で戦闘を行うのは芳しくない。 「ここは……あの戦場まで行くしかない……」 仕方なく少女は洞窟の奥に足を向けた。 夢と同じように奥に進むにつれて、心臓が押し潰されそうな重圧感を感じはじめる。 レーヴェは一度大きく深呼吸してから、再び足を進めた。
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