三の焦点

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恐怖と睨めっこをしながら進んだ為か、ひび割れた部分にはあっという間に到着した気がする。 レーヴェは夢と同じように、裂け目から階下の景色を眺めた。 そこではやはり、人外魔境な戦いが繰り広げられている。 (先に進む? それとも……) 下の戦いをマジマジ見ていると、その迫力に息を呑んだ。 黒い炎と思っていたものは一人の剣士だった。 体から溢れ出る黒い炎が、敵を次々に燃え散らかしていく。 「す……凄い」 一方的な虐殺に見えるが、戦っている相手がみな奇妙な魔術の使い手であり、化け物達も異形の巨人ばかりだ。 一人一人も、化け物も実力は並大抵ではない。 一体倒すことすら困難な相手に見える。 だが、その全てを圧倒的火力で焼き払っていく。 まるで鬼神の如き強さ。 殲滅戦は長くは続かなかった。 数十分であらかたが燃え尽きる。 ただの虐殺劇に流石に恐怖したのか、青い顔色の魔術師達は逃走を開始した。 それを追うように黒い剣士が後を追う。 逃げ出した敵の為に、戦場は通路に移動して行った。 「終わった………?」 死体しかなくなった戦場を見ていたレーヴェは、自分の動向をどうするか思案を始めた。 下の戦場後は、あらかた黒い剣士が化け物を片付けている。 ある意味安全だ。
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