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恐怖と睨めっこをしながら進んだ為か、ひび割れた部分にはあっという間に到着した気がする。
レーヴェは夢と同じように、裂け目から階下の景色を眺めた。
そこではやはり、人外魔境な戦いが繰り広げられている。
(先に進む? それとも……)
下の戦いをマジマジ見ていると、その迫力に息を呑んだ。
黒い炎と思っていたものは一人の剣士だった。
体から溢れ出る黒い炎が、敵を次々に燃え散らかしていく。
「す……凄い」
一方的な虐殺に見えるが、戦っている相手がみな奇妙な魔術の使い手であり、化け物達も異形の巨人ばかりだ。
一人一人も、化け物も実力は並大抵ではない。
一体倒すことすら困難な相手に見える。
だが、その全てを圧倒的火力で焼き払っていく。
まるで鬼神の如き強さ。
殲滅戦は長くは続かなかった。
数十分であらかたが燃え尽きる。
ただの虐殺劇に流石に恐怖したのか、青い顔色の魔術師達は逃走を開始した。
それを追うように黒い剣士が後を追う。
逃げ出した敵の為に、戦場は通路に移動して行った。
「終わった………?」
死体しかなくなった戦場を見ていたレーヴェは、自分の動向をどうするか思案を始めた。
下の戦場後は、あらかた黒い剣士が化け物を片付けている。
ある意味安全だ。
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