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下を覗き込んでいると、そこで奇妙なモノを見つけた。
黒い大剣だ。
何か禍々しい気配を感じる。
レーヴェはそれに、何故か強く惹かれるモノを感じた。
壁にチェーンの先を打ち込むと、それを伝って割れ目から階下に降りる。
辺りを一望して危険性を確認してから、そのまま大剣の元まで歩いて行く。
地面に突き刺さる大剣には、赤い神代文字のようなものが刻まれている。
(……これは?)
恐る恐るそれに手を伸ばす。
柄を握って剣を引き抜いた。
かなりの重さだ。
両腕でもまともに持てない。女の細腕ではこのニメートル近くの長剣は巨大過ぎる。
柄に力を入れた瞬間だった。
意識が一気に遠退いたのは。
「な……に、これ……」
刃から炎が溢れ出す。
炎の魔剣。
精神を食う生きた剣。
それを理解した時には、意識が遠退いて行った。
素人には精気が抜き取られるような感覚に近い。
『おいおい、馬鹿だな君は? お宝はそれじゃないだろ?』
頭の中で道化師の声を聞いたような気がした。
しかし、それを理解する前に一気に意識は消え去っていく。
緩やかな眠りに誘われるように、視界はあっという間に暗闇に捕われて行った。
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