三の焦点

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近寄って来る白い服の僧侶に、中年騎士は耳打ちする。 『記憶に混乱か、喪失を来たしているようだ』 『地上戦では、恐怖からか精神に異常を来す患者が増えています。彼女もそのケースでしょう』 耳打ちする僅かな声が耳に届いた。 どうやら少女は記憶障害者と判断されたらしい。 「タンカーの用意! 五層上の簡易転移魔法円まで彼女を運ぶぞ」 ざわめく人の声をレーヴェはぼんやりと聞いた。 安堵の為か再び意識が遠退いていく。 体力以上に、度重なる精神疲労の蓄積が瞼を重くする。 レーヴェは再び眠りについた。 『何をやっ■いるんだ君は? あの時ならば、目指す二つ■もが同時に存在していた■だよ? みすみすチャンス■棒に振るとは』 聞き慣れはじめた声が耳に届く。 (五月蝿いな……! 君の声が分かりにくいのがいけないんだよ!) 『やれ■れ、逆ギレかい? 君が眠って■る間に霊■■積点は破壊されてしまったよ。後はもう一方を追うしか■い』 (もう一方?) 『もう一方は、先■見た黒い剣士が持ち■った。一先ずア■を追うしかない。短■間で代替え品を捜■のはシビア出しね』 (……アレを……追う?) 無理難題を仰せつかったような、億劫な重圧がのしかかる。 悪夢は今だ健在のようだった。
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