二の焦点

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朦朧とした意識を覚醒させたのは、頭に響く嫌な痛みだった。 偏頭痛のように、短い感覚でこめかみに痛みが走る。 (いっつ……。何だこれ……) 目を開いたつもりが、辺りは真っ暗で何も見えない。 「どこ……よ、ここ?」 両脚に激しい痛みが走る。 不思議に足を見るが、真っ暗で何も見えない現実に直面した。 仕方なく直に触れて確認するが、足に別段変わった所はない。 ただ、自分の体が濡れている触感が伝わってきた。 「……水?」 足元には、妙なぬめりのある液体を感じる。 地面の上に何か流れているようだった。 それに、何か鉄臭い。 「とにかく……どこだよここ」 足元に手を這わせながら先に進む。 所どころに何かが転がっているのだけは分かる。 手で触れた中に、よく知る感触があった。 皮膚――と感じるよりもっと分かりやすい感覚。 手だ。 誰かの手に触れたのだ。 暗闇の中に、自分と同じ境遇の人間がいる事に安堵を覚える。 「ねえ、ちょっとここは何処? 何が起こっているの?」 話し掛けるが返事は無い。 「ねぇ、ちょっと起きてよ!」 腕を揺すってみるが返事は一向に返ってこない。 苛立ちから、身体を大きく揺らしてみた。
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